女性として、男性の接客をしていると、なんだか馬鹿にされているような気がしたり、悲しい気持ちになったり、時にはお客様を「嫌な奴」と思ってしまったりします。
でも、そんな男性にも、必ず赤ちゃんの時期があり、そして、色々な辛い経験をして沢山傷ついて、今があるのです。あなたが、キャストである前に、一人の女性であり、一人の人間であるのと同じように、お客様も男性であり、一人の人間なのです。
真実の愛を求め、自分がこの世に存在する理由を探し、迷いながら悩みながら必死に生きている人間なのです。
また、お店にいらっしゃるお客様の多くは、仕事に情熱を注いで活躍し、世の中に貢献している方々です。
しかし、チャレンジを続ける彼らの毎日は、華やかさばかりではありません。常に結果を求められるプレッシャーとの戦いです。時に周囲の人々からの反対や仕事上の対立もあるでしょう。頑張ることが当たり前で、特別に賞賛されることもない毎日かもしれません。
どんな立派な男性でも、強そうに見える男性でも、明るく笑っている方でも、私たちと同じように不安を抱えていたり、悩んでいたりする日々があるのです。
私たちも、キャストである前に、一人の人間として、本当にその方の喜ぶことをしてあげられただろうか、その方の口に出さない痛みやストレスを、察してあげられただろうか。そんなことを常に自分に問うべきなのです。
そして、もしあなたが本気でその人を想うならば、その方は「世の中は、人生は、悪くないものだ」と思うかもしれません。
そう。実は、この仕事はそれくらい重いものなのです。ただ、重い以上に、人の心の一番近くに寄り添える素敵な仕事です。
お客様は自分の鏡です。真摯に誠実に向き合って接していれば、きっとお客様も同じようにしてくださいます。
お一人お一人との出会いを特別なものとするためには、お客様とは全力で向き合うべきなのです。
自分の価値を上げる唯一の方法は、人を大切にすることです。お客様に幸せになってほしいと祈りながら接すること。
それは決して、雰囲気に流されてホテルに行くことでも、うわべだけの褒め言葉でまくしたてることでもありません。
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